とにかく努めてゆっくり、のんびり歩きます。
先には、雲取山方向へ続く尾根道。
振り返ると、七ツ石山方向へ続く尾根道。
そして、とっても静かな坂道。
たとえ、雲取山山頂に行かなかったとしても
この尾根道を歩けることに、
とても満足していました。
(もちろん雲取山山頂は行きましたが)
そして、
自分の気持ちだけを、存分に味わっていました。
誰かと歩いていたのでは、
きっとその誰かに影響されて、
自分の気持ちだけを楽しむことはできないでしょう。
話すたびに、言葉を選ぶ必要もなく、
逆に、気を遣われることもなく、
自分のためだけにある今の時間を、
気持ちの良い空気の中で存分に楽しむ。
だから、ひとりで歩くことが好きなのだと思います。
今日も、
思う存分、自分の気持ちだけを楽しんでいます。
明日も、思う存分自分の気持ちだけを楽しめるかと思うと、
ニヤけます。
身体のあちこちが痛くなったり
汗だくになったり、
凍えてガタガタ震えたり・・・。
山を歩くと、
肉体にダイレクトに伝わる辛さを味わいますが、
でも、残る思い出は、
肉体の辛さより
心に感じた気持ちよさ。
だからまた、すぐに歩きたくなる。
手術をして寿命が少し伸びたから、
やはりその分、歩きたい、と思うのです。
雲取山荘には13時ごろに着きました。
テント場にはひと張り。
年配の方がひとり。
「陽が傾いてきて、ちょっと冷えてきたかなぁ」と
問いかけにも、独り言にも聞こえる
年配の方の言葉に、
返答は、うなづくだけにとどめ、
荷物を降ろして、私もテント設営。
身軽になって、雲取山山頂まで登り、
逆光の中の富士山を、そして周りの山々を眺めました。
山荘のテント場に戻り、
「今日はもう、歩くことはないんだよなぁ」と思ったら、
なんだかとても安心してしまい、
夕ご飯もそこそこに、6時ごろには寝入っていました。
一度、暑くて目が覚めて、
上半身寝袋から出て寝られるほど、
16日の晩は暖かったです。
風があったらどうなっていたかはわかりませんが、
ほぼ無風の中、テントがバタつくこともなく、
静かで暖かい夜を過ごしました。
次の日は日の出とほぼ同時に出発。
相変わらず気持ちの良い坂道を下って、
無事、帰ることができました。
往復約20キロ。
平地でだって歩くことのない距離を
衣食住を担いで歩くことに、
妙な自信と可能性を見出しちゃいました。
冬でも楽しく歩けて、
快適にテント泊できる坂道を、
探してみるつもりです。