20代だった頃。
仕事で熊本の阿蘇の方へ行って、
理由は忘れましたが、
東京へ帰れなくなりました。
訪れた場所はホテルなどない、
ちょっと寂しげな集落。
どうしたものかと考えあぐねてたところ、
「ウチに来なさいよ」と
見ず知らずの方が、
見ず知らずの私に声をかけてくれました。
付いていくと、
屋根の高い、大きなおうちに到着。
おうちには小学生ぐらいの子どもが4、5人いて、
他に老夫婦や、
誘ってくれた方の旦那さんがいて、
大きなテーブルを囲んで
晩ごはんをごちそうになりました。
その後、天井の高い部屋で
子どもたちと遊んで、
そして雑魚寝。
次の日、始発のバスで帰りました。
昔過ぎて、記憶は定かではありませんが、
大きなテーブルと高い天井、
誘ってくれた方のとても気さくな感じと、
人懐っこい子どもたちが、
ぼんやりと浮かぶのです。
私にとって「熊本」とは、
そういう場所なのです。
年が明けて初出勤の日、
同僚から、
「熊本のお菓子だよ」と、お土産を頂いた時に、
熊本の阿蘇で泊まったあの時の記憶が
ぼんやりと浮かんだのです。