静かな坂道

登るも下るも静かな坂道がいい

「後編」 硫黄岳と横岳

…硫黄岳から、今度は横岳を目指します。

 

硫黄岳より東へ目をやると、

かろうじて硫黄岳山荘は望めたものの、

そこから先は真っ白。

奥が横岳方面。尾根道の一番低いところに、硫黄岳山荘が見えます。

 

SNSでよく見られる硫黄岳からの風景には、

尾根道の先に横岳や、その奥には赤岳、阿弥陀岳

写っていますが、

今日は真っ白。

 

 

それでも、

こんなメジャーなところに来られたことに、

感謝のひと言です。

 

 

次回があるかどうかはわかりませんが、

再訪時にはもっといい景色を見てみたいです。

 

 

 

さて、硫黄岳山荘まで降り、

横岳方面へ登り返します。



 

途中、とんでもないものを見ました。

 

「台座の頭」を越えて少し歩くと、

一瞬ガスが抜け、

西側に「大同心」が見えました。

 

頂上に2名、登山者が休んでいるのが見えたのですが、

しばらく眺めていると、

そのうちのひとりが、懸垂下降を始めたのです!

 

 

彼の目には今、どんな風景が写っているのだろう?

とか、

どんな心持ちでいるのだろうか、

とか、

考えてみたものの、全く想像できませんでした。

 

 

何しろ、自分には経験のないことですから。

 

 

 

そんな私にとっては恐怖でしかない風景とは裏腹に、

周りには可愛らしくて可憐な花が、

一面に咲いていました。



これは、かなり和めます。

 

と、和んでいるのも束の間、

容赦のないクサリ場が現れました。

 

 

 

人それぞれ、感じることは違うと思いますが、

私にはホントに怖かったです。

 

ずーっと「コワイ、コワイ、コワイ、コワイ・・・」と

呪文のように声に出ていました。

 

 

この、コワイ、コワイ、コワイ、が

横岳(奥の院)まで続くのです。

 

 

ガスっているので、風景が見えないのは

実は幸いだったのでは? と思えるほど。

 

 

そして、やっぱり横岳山頂も真っ白でした。



 

でも、確かに風景は残念ですが、

ここまで登れたことに、

顔がニヤけているのが分かります。

 

 

とは言え、もう充分なので、

オーレン小屋に戻ることにします。

 

 

 

そして、また、

いや、登ってくる時よりさらに恐怖な下りを体験。

 

下りのクサリ場をやりこなし、

群生するコマクサにうっとりし、

硫黄岳山荘でコーラをいただきました。

 

 

硫黄岳山荘から硫黄岳頂上までは、

かなり登り堪えのある道でした。

 

 

 

 

硫黄岳山頂からは、今度は赤岩の頭を目指します。

 

赤岩の頭からの眺めは本当に最高でした。

雲が多いものの、横岳、赤岳、阿弥陀岳

奥には権現岳や網笠山も確認できます。

 

▲上:左から横岳、雲を被った赤岳と阿弥陀岳。左:硫黄岳から赤岩の頭までの道。急な上に滑りやすく、ちょっと危険。右:赤岩の頭から硫黄岳を眺めると、綺麗に並んだケルンが確認できます。

 

 

オーレン小屋のテント場に戻ると、

私のテントの横に、大きめのテントが張られていました。

 

これだけ広い場所で、

他にも充分空いているのに、

なぜわざわざ隣なの? とちょっと不満。

 

 

ちなみに隣は5人組の学生(高校生ぐらいかな)。

でも想像していたよりずっと静かで、

彼らが交わしていた会話もかわいらしくて、

なんとなく和んでしまいました。

 

 

この日はなんとか雨は降らずに済んだものの、

次の日、未明より雨。

 

降ったり止んだりが繰り返されていて、

タイミングを見計らって、テントを撤収。

そそくさと荷物をまとめて、

下山しました。

 

隣の学生たちは朝5時前には出発したようです。雨が降ったり止んだりのオーレン小屋のテント場に取り残された私。

 

今回の山行は、

スカッとした空の下で、

というわけには行きませんでしたが、

メジャーな山に登れたことと、

テント泊ができたことで、

かなり満足しています。

 

 

 

私が出かける八ヶ岳

いつも天気がイマひとつですが、

やっぱり、八ヶ岳は楽しいところです。

 

 

体が動くうちは、

何度も訪れたい場所です。